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新法令・通達の解説
(令和3年4月30日までの発表・公布・施行分)
- 発信者情報開示を容易にするプロバイダ責任制限法の改正
- 令和3.4.28 法律第27号=特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律
SNS等での誹謗中傷の影響が社会問題となっています。
そこで、被害者が誹謗中傷の書き込みをした人を特定しやすくできるようにして、その抑止につなげようというねらいから、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)が改正されました。
その概要は、次のとおりです。
●新たな裁判手続きの創設
これまでの手続きでは発信者の特定のため、SNS事業者等からの開示と通信事業者等からの開示という、2回の裁判手続きを経ることが一般的に必要でした。そこで、発信者情報の開示を1回の手続きで可能になるよう新たな裁判手続き(非訟手続き)が創設されました。
裁判所による開示命令までの間、必要とされる通信記録の保全に資するため、提供命令および消去禁止命令が設けられました。
あわせて裁判管轄など、裁判手続きに必要となる事項について定められました。
●開示請求を行なうことができる範囲の見直し
SNSなどのログイン型サービス等において、投稿時の通信記録が保存されない場合には、発信者の特定をするためにログイン時の情報の開示が必要となります。
発信者の特定が必要となる場合には、ログイン時の情報の開示が可能となるよう、開示請求を行なうことができる範囲等についての改正が行なわれました。
●その他
開示請求を受けた事業者が発信者に対して行なう意見照会において、発信者が開示に応じない場合には、「その理由」もあわせて照会し対応を求めることとなりました。
この改正法は、公布の日から1年6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック