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新法令・通達の解説
- 過労死等事案の的確な労災認定のため労働時間の的確な把握等を指示
- 平成31.2.19 労災発0219第1号=労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について
労災補償行政を巡る状況をみると、過労死等に係る労災請求件数は2,500 件以上に上り(脳・心臓疾患に関する事案および精神障害に関する事案等の合計)、過労死等が社会問題となっています。
長時間労働の是正を大きな柱とする「働き方改革」が推進されるなか、過労死等の発生を防止するための取組強化に対する社会的要請は強まっています。
そうした背景をもとに、労災補償行政において、過労死等の労災補償請求事案に対する、より適切かつ効率的な対応を実現するため、厚生労働省大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)より、過労死事案等で労働時間の的確な把握等を指示する通達「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」が発出されました。
その主な内容は、次のとおりです。
労働者の労働時間の把握に当たって、使用者の指揮命令下にあることが認められる時間を的確に把握すること。
そのためには、タイムカード、事業場への入退場記録、パソコンの使用時間の記録等の客観的な資料を可能な限り収集するとともに、上司・同僚等事業場関係者からの聴取等を踏まえて事実関係を整理・確認し、始業・終業時刻および休憩時間を詳細に特定したうえで、当該労働者が実際に労働していると合理的に認められる時間を的確に把握すること。
その際、事業場において休憩時間とされている時間であっても、黙示を含む使用者の指揮命令に基づき労働者が業務に従事している、または手待時間と同様の実態が認められるなど労働からの解放が保障されていない場合には、労働時間として算入すべきことに留意すること。
ことし4月から始まる高度プロフェッショナル制が適用される労働者については、健康管理時間を把握することが事業主に義務づけられていることから、労働時間の特定に当たっては、健康管理時間の記録も参考とすること。
精神障害事案において、特に、請求人が嫌がらせ、いじめを主張する事案については、関係者が相反する主張をする場合がある。このため、当事者の事業場内における役割、指揮命令系統を把握したうえで、できる限り客観的な第三者から聴取等を行ない、業務指導の範囲を逸脱した言動等の有無につき、確認を行なったうえで、嫌がらせ、いじめに該当するか否かの判断を行なうこと。
出典・文責 ≫ 日本実業出版社・株式会社エヌ・ジェイ・ハイ・テック